地盤システム研究所

GeoSystem Institute

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研究紹介


これまでの研究


岩盤工学、少し耳慣れない言葉ですが、ダムや地下発電所やトンネルや長大法面などの構造物の計画や設計に活用される技術分野です。その岩盤工学の分野では、個々の技術がそれぞれ複雑に絡み合っているため、個別技術をバランス良く活用して、全体最適化を図っていくことが重要とされています。私の研究所では、岩盤工学に関する計画・調査試験・設計・施工・維持管理の実務に携わっている研究者や技術者と一緒になって、現場や構造物に適用できる実務的な技術の研究開発に取り組んでいます。


1) 研究プロジェクトのマネージメント

これまで国土の保全やインフラ整備だけに活用されてきた土木技術、特に、地盤構造物に活用されてきた技術の新しい活用分野を模索するための研究開発を実施しています。
・地域防災に役立つ技術の研究開発と防災分野における新たな事業モデルの構築(地域防災研究会、http//ersm.crc.yamaguchi-u.ac.jp)
・地域再生のための産業遺産の有効活用(神戸市の山間部掘削土砂の運搬用ベルコントンネル、宇都宮市の大谷石採掘跡地などの再利用)
・岩盤地下空洞を利用した新しい施設の計画提案(地下冷凍倉庫、省エネ型情報装置に向けた地下データセンター、延長50kmの二本の直線トンネルと地下大空洞からなる国際リニアコライダー施設など)


2) 国土の有効利用に向けた地下空間利用施設の計画と設計に関する研究開発

道路や鉄道や地下発電所などで活用されているトンネルや地下大空洞の計画技術や設計技術を研究開発しています。そして、特に、不特定多数が入場する岩盤地下施設を目的として、高山祭りミュージアム(図-1、http://www.tt.em-net.ne.jp/~teda/takayama/takaya ma.html)、トンネル式穀物倉庫、トンネル式ワインセラーなどの建築構造物としての地下施設の実現につなげています。

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図−1 高山祭りミュージアム((世界で唯一の本格的な人工の岩盤空洞を利用した地下式美術館、空洞直径40m、最小土被り31m、1995年建築評定を取得)

3) 岩盤や地盤を対象にした設計・解析手法の研究開発

経済的で、高品質な地盤構造物の創造を目的とした地盤物性の調査・試験と設計・解析手法の研究開発に取組み、つぎのような構造物で活用しています。
・応力変形解析システムの研究開発と実構造物への適用(青函トンネル、サイロットNATMの成田空港トンネル、大断面空洞の東北電力本道寺地下発電所、シンガポール地下鉄104工区など)
・熱伝導解析システムの研究開発と実構造物への適用(関西電力長谷ダムや水資源公団浦山ダムなどのマスコンクリート温度管理、東京湾アクアライン川崎人工島や下水道事業団尾久上幹線下水工事の地盤凍結工法など)
・浸透流解析システムの開発と解析
・浸透流・熱・応力の連成解析とその逆解析システムの開発(九州新幹線第2今泉トンネル、膨張性地山の国道274号線稲里トンネルなど)

4) 現場計測データを設計にフィードバックする評価手法(情報化施工技術)の研究開発

低コストで高品質な土木建築構造物の実現に向けた現場計測システムと得られた計測データの設計へのフィードバック手法を研究開発して、実際の構造物の施工に役立てています。
・地盤構造物を対象とした現場計測データを設計へのフィードバックするための情報化施工技術の研究開発と実構造物への適用(北陸自動車道頭山トンネル、下水道事業団中川処理場など)

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図−2 時期を換えて取得した複数枚の写真画像から法表面、さらには、地盤内の変位や地盤の強度特性を評価(VisualGeo Mechanics)実験中に撮影した画像からは、供試体内部の応力やひずみ分布を可視化することが出来る。

土木建築構造物の現場計測器(光学式地盤内変位計、光学式流向き流速計(図-3)、精密写真測量システム、FBG光ファイバー計測器の開発)とそのデータ評価システムの開発(三遠南信自動車道草木トンネル、県道256号線清内路トンネル、国道361号線権兵衛トンネルなど)

・計画、設計、施工から維持管理に至るまでの長期間に渡る構造物の品質管理のためのMR(Mixed Reality)技術の研究開発と実構造物への適用(東北新幹線八甲田トンネル、永平寺ダムなど)


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図−3  シースルー型ヘッド・マウント・ディスプレを使ったMRシステム(透過型ヘッド・マウント・ディスプレに映される画像に三次元CADデータを合成することによって、現実空間と仮想空間が一体となって見える)

図−4  ノートパソコンで実現したMRシステム(CCDカメラで取得した実画像からPCの位置や傾きを自動認識し、三次元のCADデータを合成する)



おわりに


岩盤や地盤に関連する構造物、特に、不特定多数が入場する地下空間の計画、設計、施工管理全般にわたる実務的な研究を進めています。地盤構造物の実務面に即した研究内容が主体ですが、興味のある方は、お気軽に、研究所のホームページ、または、研究所にお立ち寄りください。




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