地盤システム研究所

GeoSystem Institute

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世界の地下空間



テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko、ヘルシンキ、フィンランド)


フィンランドのヘルシンキ市・トーロ(エトゥ・トョーリョ地区)にあるフィンランド福音ルター派教会に属しているキリスト教会で,岩の教会とも呼ばれている. スオマライネン兄弟によって設計され、1969年に完成した,この教会は,花崗岩体を直径24m,深さ5〜9mくりぬき,その上に,ドーム状の屋根を載せただけのシンプルな構造である。 しかし,内部に入るとドーム状の屋根の周りに配された180枚の縦長のガラス窓から差し込む日の光が浮かび出させる教会内部の祭壇や壁となっている花崗岩の岩肌の壮麗さに驚かされる. さらに,直径24m,高さ13mの内部空間を覆う22kmの薄い帯状の銅を巻いて作った屋根は,理想的な音響性能を作り出していると言われている.
(1994年視察)(2000年視察)

詳細は以下へ
不特定多数が入場する岩盤地下空洞(Temppeliaukion kirkko).pdf
Temppeliaukion kirkko


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ヨービック・オリンピック・マウンテン・ホール(Gjovik Olympic Mountain Hall)


ノルウェーのオスロ中央駅から列車で北へ2時間,ミエーサ(Mjosa)湖に面した自然豊かな小さな街Gjovik(人口3万人ほど)に、 1994年のリレハンメル(ノルウェー)冬季オリンピックに向けて建設されたアイスアリーナ,オリンピック・マウンテン・ホールがある. 自然環境と景観の保全のために,先カンブリア紀の片麻岩体が分布する土被り30m程度の浅い岩盤内に,幅61m、高さ25m、長さ91mの大空間を掘削し, 現在,世界最大の人工の岩盤地下空洞となっている. この場所には,もともとノルウェーで最初の岩盤空洞を利用した水泳場(1974年開館)があったが,オリンピック開催を受けて,1991年に新らたに拡張してアイスアリーナの建設が開始された. Moe-Levorsen氏による建築設計であるが,岩盤空洞の支保設計や安定性評価は,NGI(Norwegian Geotechnical Institute)が担当している.
(1994,2001,2005年視察)

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不特定多数が入場する岩盤地下空洞()Gjovik Olympic Mountain Hall.pdf


Gjovik Olympic Mountain Hall.jpg




イタケスクス・スイミングプール(Itakeskus Swimming hall)


フィンランドのイタケスクスの岩盤地下プール.空洞の設計でまず目を惹くのは、中央の16 x 26mの矩形の岩の柱であり、この周りを5つのいろいろなプールが配置されている. この施設の内部空間の特徴は、間接照明を主体にしている室内は、白く着色された吹付けコンクリートに当てられた白色光が、掘削面の起伏がほど良い陰影を作りながらも、中にいる人たちの周り全体が光に包まれているような雰囲気を醸し出している. 袋小路を感じさせない地下空間の配置、威圧感を与えない天井の高さ(14 m)、こうした要素が重なり会って地下空間特有の閉鎖感や緊張感を解きほぐし、快適な空間を造り出している.ここが3,800人収容できる地下シェルターだとは誰も気付かない.
(1994年視察)

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不特定多数が入場する岩盤地下空洞(Itakeskus Swimming hall).pdf
Itakeskus Swimming hall


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レトレッティ・アート・センター(Retretti Art Centre. プンカハリュウ、フィンランド)


フィンランド東部の国境付近のプンカハリュウ(Punkaharju)村にあるレトレッティ・アート・センターは、地下30mの深さのところに3,700m2もの地下空間を掘削し,1.000人の観客を収容できる音楽ホール(1,900m2)、地下レストラン(350m2)、レストランおよびアメニティエリアとして活用している. 外部環境から遮断して光、昔、水によって創り出している非日常的な美術作品の展示、音楽会、オペラなどを積極的に受け入れており、複数回訪れでも、違ったイベントが楽しめるように配慮されている.こうした企画によって、夏期間しか入用できない避暑地の施設であるにも拘らず、毎年30万人強もの観客が訪れる人気施設となっている.
(1994年視察)

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不特定多数が入場する岩盤地下空洞((Retretti Art Centre).pdf
Retretti contemporary art museum






高山祭りミュージアム(Takayama Art Museum, 岐阜県、日本)


岐阜県飛騨高山市にある“岩の中の美術館”と呼ばれている高山祭りミュージアムは、トンネルの国際学会が発刊した2000年記念特集号で、20世紀の日本を代表する地下空間として青函トンネルと東京湾アクアラインと並べて紹介されている構造物である。日本で始めて、地震や火災にも安全であると認められ、 1995年に建築評定を取得した本格的な人工の岩盤空洞(空洞直径40m、最小土被り31m)を利用した地下美術館であり、1996年から会館している。空洞内部には、豪華絢爛な平成屋台、世界で一番大きな太鼓、金板を彫金して造られた長い屏風などが展示されている。特に、平成屋台は、 奈良時代から都の造営等で培われた建築技術である「飛騨の匠」の技を平成の世に継承させるために、新しく11台、建造したものであり、大切に保存されてきた技と平成の匠の技とがみごとに融合している。また、屋台の美しさを堪能していただくために、むき出しの岩盤空洞を残してある. 日頃感じることがない自然の岩盤空洞の荘厳さと匠が造り上げた燦然と輝く豪華な工芸作品の美しさのコントラストが興味深い.

詳細は以下へ
不特定多数が入場する岩盤地下空洞((高山祭りミュージアム).pdf
祭りの森公式ホームページ
詳しい技術を見る.


Takayama Art Museum1.jpg
Takayama Art Museum2.jpg
Takayama Art Museum3.jpg



カヌシッランマキ・スポーツ・センター(Kannusillanmaki sports centre, , エスポー、フィンランド)


ヘルシンキ市の中央駅から東へ30分ほどのエスポー(Espoo)駅から歩いて数分のところにあるカヌシッランマキのスポーツセンターは、フィンランドとエスポー市が共同で民間防衛シェルター(総床面積が8,200m2)として建設した施設で、1983 年に開業を始めた. 平常時には、スポーツだけでなく会議室、工作場、多目的ホール、音楽施設および劇場などいろいろなレクリエーション活動に利用できるように建設されており、年間9万人の人が利用している.一方,緊急時には、2,7'50 人が避難できるようにS-6クラスの設計がなされている.

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不特定多数が入場する岩盤地下空洞(カヌシッランマキ・スポーツ・センター).pdf

Kannusillanmaki sports centre

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Kannusillanmaki sports centre2.jpg


ストックホルム地下鉄(Stockholm Mass Transit System, ストックホルム、スウェーデン)


スウェーデンの首都であるストックホルムの地下鉄は,1950年に開業し,現在,3つの路線(全長105.7?)と100の駅を持ち,年間延べ3億人が利用している.この地下鉄を有名にしたのは,世界一長い美術館と言われているアート空間となっている駅である.1957年にT-Centralen駅から始められた駅空間の装飾は,今日では,150人を越す芸術家たちによって,彫刻,レリーフ,モザイク,絵,展示品を用いて装飾され,90駅以上のアート空間を生み出されている.さらに,今日では,限定された芸術作品の展示だけでなく,新しい芸術家の活躍の場を提供するために,6つの駅,期間限定の芸術作品の展示を可能にしている.この空間アートの一つのエポックは,1970年代に入ってから使われるようになった厚さ7〜8cmの吹き付けコンクリートである.これによって,湧き出す地下水を処理する導水工は見えなくなり,掘削された岩盤面の起伏を残しながらも,不安定な岩盤を保持することが出来るようになった.さらに,岩盤面から離して自由な形状の壁や天井を造ることも可能になり,駅空間の形状そのものを自由に整形出来るようになってきて,空間アートの可能性が大きく広がる結果となっている.
(1994年視察)(2000年視察)

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不特定多数が入場する岩盤地下空洞(ストックホルム地下鉄).pdf
The World’sLongestArtGallery:
  Art in the Stockholm Metro


Stockholm Mass Transit System1.jpg
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世界の地下空間



テンペリアウキオ教会(Temppeliaukion kirkko、ヘルシンキ、フィンランド)


フィンランドのヘルシンキ市・トーロ(エトゥ・トョーリョ地区)にあるフィンランド福音ルター派教会に属しているキリスト教会で,岩の教会とも呼ばれている. スオマライネン兄弟によって設計され、1969年に完成した,この教会は,花崗岩体を直径24m,深さ5〜9mくりぬき,その上に,ドーム状の屋根を載せただけのシンプルな構造である。 しかし,内部に入るとドーム状の屋根の周りに配された180枚の縦長のガラス窓から差し込む日の光が浮かび出させる教会内部の祭壇や壁となっている花崗岩の岩肌の壮麗さに驚かされる. さらに,直径24m,高さ13mの内部空間を覆う22kmの薄い帯状の銅を巻いて作った屋根は,理想的な音響性能を作り出していると言われている.
(1994年視察)(2000年視察)

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Temppeliaukion kirkko


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ヨービック・オリンピック・マウンテン・ホール(Gjovik Olympic Mountain Hall)


ノルウェーのオスロ中央駅から列車で北へ2時間,ミエーサ(Mjosa)湖に面した自然豊かな小さな街Gjovik(人口3万人ほど)に、 1994年のリレハンメル(ノルウェー)冬季オリンピックに向けて建設されたアイスアリーナ,オリンピック・マウンテン・ホールがある. 自然環境と景観の保全のために,先カンブリア紀の片麻岩体が分布する土被り30m程度の浅い岩盤内に,幅61m、高さ25m、長さ91mの大空間を掘削し, 現在,世界最大の人工の岩盤地下空洞となっている. この場所には,もともとノルウェーで最初の岩盤空洞を利用した水泳場(1974年開館)があったが,オリンピック開催を受けて,1991年に新らたに拡張してアイスアリーナの建設が開始された. Moe-Levorsen氏による建築設計であるが,岩盤空洞の支保設計や安定性評価は,NGI(Norwegian Geotechnical Institute)が担当している.
(1994,2001,2005年視察)

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イタケスクス・スイミングプール(Itakeskus Swimming hall)


フィンランドのイタケスクスの岩盤地下プール.空洞の設計でまず目を惹くのは、中央の16 x 26mの矩形の岩の柱であり、この周りを5つのいろいろなプールが配置されている. この施設の内部空間の特徴は、間接照明を主体にしている室内は、白く着色された吹付けコンクリートに当てられた白色光が、掘削面の起伏がほど良い陰影を作りながらも、中にいる人たちの周り全体が光に包まれているような雰囲気を醸し出している. 袋小路を感じさせない地下空間の配置、威圧感を与えない天井の高さ(14 m)、こうした要素が重なり会って地下空間特有の閉鎖感や緊張感を解きほぐし、快適な空間を造り出している.ここが3,800人収容できる地下シェルターだとは誰も気付かない.
(1994年視察)

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Itakeskus Swimming hall


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レトレッティ・アート・センター(Retretti Art Centre. プンカハリュウ、フィンランド)


フィンランド東部の国境付近のプンカハリュウ(Punkaharju)村にあるレトレッティ・アート・センターは、地下30mの深さのところに3,700m2もの地下空間を掘削し,1.000人の観客を収容できる音楽ホール(1,900m2)、地下レストラン(350m2)、レストランおよびアメニティエリアとして活用している. 外部環境から遮断して光、昔、水によって創り出している非日常的な美術作品の展示、音楽会、オペラなどを積極的に受け入れており、複数回訪れでも、違ったイベントが楽しめるように配慮されている.こうした企画によって、夏期間しか入用できない避暑地の施設であるにも拘らず、毎年30万人強もの観客が訪れる人気施設となっている.
(1994年視察)

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Retretti contemporary art museum






高山祭りミュージアム(Takayama Art Museum, 岐阜県、日本)


岐阜県飛騨高山市にある“岩の中の美術館”と呼ばれている高山祭りミュージアムは、トンネルの国際学会が発刊した2000年記念特集号で、20世紀の日本を代表する地下空間として青函トンネルと東京湾アクアラインと並べて紹介されている構造物である。日本で始めて、地震や火災にも安全であると認められ、 1995年に建築評定を取得した本格的な人工の岩盤空洞(空洞直径40m、最小土被り31m)を利用した地下美術館であり、1996年から会館している。空洞内部には、豪華絢爛な平成屋台、世界で一番大きな太鼓、金板を彫金して造られた長い屏風などが展示されている。特に、平成屋台は、 奈良時代から都の造営等で培われた建築技術である「飛騨の匠」の技を平成の世に継承させるために、新しく11台、建造したものであり、大切に保存されてきた技と平成の匠の技とがみごとに融合している。また、屋台の美しさを堪能していただくために、むき出しの岩盤空洞を残してある. 日頃感じることがない自然の岩盤空洞の荘厳さと匠が造り上げた燦然と輝く豪華な工芸作品の美しさのコントラストが興味深い.

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カヌシッランマキ・スポーツ・センター(Kannusillanmaki sports centre, , エスポー、フィンランド)


ヘルシンキ市の中央駅から東へ30分ほどのエスポー(Espoo)駅から歩いて数分のところにあるカヌシッランマキのスポーツセンターは、フィンランドとエスポー市が共同で民間防衛シェルター(総床面積が8,200m2)として建設した施設で、1983 年に開業を始めた. 平常時には、スポーツだけでなく会議室、工作場、多目的ホール、音楽施設および劇場などいろいろなレクリエーション活動に利用できるように建設されており、年間9万人の人が利用している.一方,緊急時には、2,7'50 人が避難できるようにS-6クラスの設計がなされている.

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Kannusillanmaki sports centre

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ストックホルム地下鉄(Stockholm Mass Transit System, ストックホルム、スウェーデン)


スウェーデンの首都であるストックホルムの地下鉄は,1950年に開業し,現在,3つの路線(全長105.7?)と100の駅を持ち,年間延べ3億人が利用している.この地下鉄を有名にしたのは,世界一長い美術館と言われているアート空間となっている駅である.1957年にT-Centralen駅から始められた駅空間の装飾は,今日では,150人を越す芸術家たちによって,彫刻,レリーフ,モザイク,絵,展示品を用いて装飾され,90駅以上のアート空間を生み出されている.さらに,今日では,限定された芸術作品の展示だけでなく,新しい芸術家の活躍の場を提供するために,6つの駅,期間限定の芸術作品の展示を可能にしている.この空間アートの一つのエポックは,1970年代に入ってから使われるようになった厚さ7〜8cmの吹き付けコンクリートである.これによって,湧き出す地下水を処理する導水工は見えなくなり,掘削された岩盤面の起伏を残しながらも,不安定な岩盤を保持することが出来るようになった.さらに,岩盤面から離して自由な形状の壁や天井を造ることも可能になり,駅空間の形状そのものを自由に整形出来るようになってきて,空間アートの可能性が大きく広がる結果となっている.
(1994年視察)(2000年視察)

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